す、すごい事を経験してしまいました。
こんにちは。唎酒師Yです。
4月23日・24日の2日間、な、なんと神奈川県で最初の黒龍酒造の水野社長を囲んでの黒龍会を当店「すし処潮り」で開催してしまいました!
もうビックリです!
タイミングが良く、先日「火いら寿」をご紹介させて頂いたばかりでしたね。
そのスペシャルなイベントの様子をブログで公開して良いという事で許可を頂きましたので投稿させて頂きます。
黒龍会とは…
福井県永平寺近くにある黒龍酒造。
九頭竜川の伏流水で仕込んだお酒は、透明感があり、綺麗な酒質で全国にファンが多く、大吟醸を初めて販売した酒造でも有名です。
その黒龍酒造の水野直人社長が自ら飲食店に出向き、その店舗の顧客(お得意様)と共に黒龍酒造のお酒の説明をしながらお食事を楽しむという贅沢な会です。
水野社長は事前に当店の料理を召し上がり、そのコースや料理に合ったカップリングのお酒を用意するほどのこだわったおもてなしをして頂けます。
黒龍酒造 水野直人社長の考え方
ここでちょっとインターネットを検索して、水野社長がどんな方か検索し、インタビューがありましたのでご紹介します。
黒龍酒造株式会社は、「自然と人との調和を目指し、豊かな生活文化を創造する」という企業理念のもとに日本酒をつくっている会社です。
その歴史は古く、文化元年(1804 年)に、初代蔵元石田屋二左衛門が創業したことが始まりだそうです。
酒造りを始めたきっかけはなんですか?
酒造りの始まりは、松平昌勝公が松岡(現在の永平寺町)に、松平昌親公が吉江(現在の鯖江市)に置藩したことから始まりました。
その際に、この地域では水が非常に良く、お酒を造るのに適していたので、お酒を造ろうという話になりました。
そこで、弟が治めている吉江藩の鯖江の地域で職人を探しました。
「石田屋」という名前は鯖江にある石田村が由来であり(そこでは「石田」という苗字が多い)、石田村から酒造りの職人として、松岡の地に祖先が移住してきました。
昔はお殿様からある程度の酒造株(江戸時代の造酒屋の営業権)をいただかないと酒造りができませんでしたが、
その後、1804 年に祖先が酒造株を集めることができ、酒造りを始めました。現在、私で8 代目の蔵元になります。
企業理念の「自然と人との調和を目指し、豊かな生活文化を創造する」は初代がお作りになられたのですか?
いや、僕が作りました(笑)。
酒造りはほとんど家業で、企業になりきれていないので、新卒の社員が増えたら、心のよりどころとして何のために会社が存在価値を持っているかが大切になります。
そこを決めないと成長できないのかな、ということで作りました。
お酒は自然の恩恵を受けています。
まずは水、そして水ができるには森がなければならないし、水は森の水や雪どけ水が地下水として流れているのをくみ上げます。
水は生きていくために不可欠であるし、水のおかげでお酒の原料となるお米もできます。
また、お酒を造るのに2 種類の微生物を使いますが、微生物も水分がなければ生きていけません。
このように自然と我々が調和する世界を作っていかないと、
我々は商売させていただけないので、自然と人との調和を目指す会社にしていくことを崇高な理念として掲げていこうと考えました。
すばらしい理念経営を実践されている方ですね。
さて、本題に参ります。以下が黒龍会のレポートになります。
水野社長にお聞きした所、神奈川県で初の黒龍会だそうでとても恐縮し、スタッフ全員が緊張しておりました。
しかし、開催してみて、職人もスタッフもとても良い経験になりました。
黒龍会 本日のおしながき
①春の夜宴・味覚盛り合わせ
・谷中生姜と地鯵のなめろう
・由比産 生桜海老
・北海水蛸の桜煮
・釜揚げ白須とめかぶの卵とじ
『石田屋』と『二左衛門』の黒龍飲み比べ
1975年昭和50年に全国で大吟醸を初めて発売した黒龍にとっては記念すべきお酒です。
あと3年で50周年を迎えます。お酒を冷やして飲む文化が少なかった時代に弊社の吟醸酒の冷酒文化を啓蒙させて頂いたそんなお酒です。
兵庫県の山田錦を40%で磨き、低温で熟成させて皆様に飲んで頂くお酒です。最初はこのお酒からスタートさせて頂きます。屋号と初代の石田屋仁左衛門の名前に関したお酒。一番のトップブランドとして出させて頂いているお酒です。山田錦の特上米という最高級のあまり取れないお米を使って作らせて頂いています。作り方は一緒です。お酒は絞る時のタイミングで味が変わってきます。もろみというものを酒袋の中に入れて自重の重みだけで勝手に流れるものが「あらばしり」という名前のお酒になります。その後圧力をかけると、マグロで言うトロみたいな部分が出るのですがそれを「中取り」と言います。最後にグワッと圧力をかけて絞る部分を「せめ」と言います。絞るタイミングで味や香りが変わっていったりします。この石田屋は「あらばしり」と「せめ」をうまく調合して2年間熟成させたものです。『二左衛門』というのが1年のビンテージで1年間熟成させた「中取り」でマグロで言うトロの部分です。平成に入って発売したお酒で30年間ご愛顧頂いています。同じ山田錦でも作り方やタイミングで味が違うので、飲み比べして頂きたいということでお出しします。ごゆるりとお楽しみください。
②厳選 海の幸のお造り
あしらい一式
しずく
福井県の代表する海の幸には越前ガニがあります。そして白身の魚が有名です。
そのような繊細な魚に合わせる、甘みを壊さないようお酒を造ろうということで出来たのがこの『しずく』です。
お酒を造るときにプレスをします。酒袋の中にもろみを入れて、自然の重力だけでポトポト落ちるしずくを集めたのがこの『しずく』というお酒の名前の由来です。
とてものどごしがきれいなお酒で、日本酒が飲めないという方でもこのお酒だったら飲めるよという女性の方もいます。
お刺身・お造りに非常に相性が良いので、出させていただきます。どうぞお召し上がりください。
③地金目鯛の鱗焼 ~天城産本山葵と珠洲産 手造り塩を添えて~
『ESHIKOTO AWA』
スパークリングの日本酒をシャンパングラスでお出しさせて頂きます。
普通の市販で売っている日本酒のスパークリングは、甘口が多いですが、このお酒はシャンパンと同じ製法で作った吟内二次発酵で自然にガスを発生させた日本酒です。
発酵の期間も15カ月以上発生させた後にオリを抜いてまた10回発酵させるけっこう長い期間3年位の時間をかけたものです。
かなりドライに作られております。普通シャンパンは、乾杯で飲んで頂くことが多いです。
それは最初に口の中を甘味のアルコールにしてもらう事によってお食事を勧めやすくするという効果という使われ方をします。
お料理と合わせて飲んで頂くスパークリングを創りたいという事でこのお酒ができました。
このお酒は『ESHIKOTO』というブランドです。福井に石田屋という直営ショップがあります。
そこでしか扱っていないお酒です。本来ならば福井に来ていただけないと飲めないお酒ですが、今回は特別に出させていただきました。
けっこう油っこいお料理に合うと思いますので、お魚を揚げたお料理と合わせて出させて頂きます。どうぞお召し上がりください。
④真鶴産 黒鮑と春野菜の天婦羅
変わり塩でお召し上がりください
『火いら寿』
続いては『火いら寿』という新酒の純米大吟醸のお酒です。
火を入れないという言葉がなかった時代で「火いれず」といううちの工法を表しているお酒で、
いれずという「ず」を寿という漢字にあてて『火いら寿』という生酒の最高峰のお酒として発売させて頂きました。
これも同じく兵庫県産の山田錦を使っております。
このお酒を最初に作らせて頂いて、今年の山田錦の出来高がこのお酒で確かめるというお酒にもなります。
ですので、今年の出来はこの『火いら寿』が出来た瞬間にわかるというお酒ですので、毎年味が違います。
年によって表現が変わるお酒も生酒として非常にご好評で毎年お楽しみして下さっております。
こちらは天婦羅に合わせてお召し上がりになってください。
こちらは2月に発売するお酒ですので今は全て完売しているお酒ですが今回潮りさんのためだけに特別にお出しさせて頂きます。
⑤寿司一人前と赤出汁
握りたてを提供いたします
燗たのし
お寿司に合わせたお酒です。秋から春にかけて2シーズンだけ出させて頂く燗酒シリーズです。
純米酒になっておりまして福井県産の五百万石というお米を使った純米酒で、熟成をさせたやわらかい味を楽しんで頂くお酒です。
燗に特化したお酒です。今回は50度位に設定してお寿司に合わせてお持ちしました。
自家製デザート 抹茶アイスとブランマンジュ
『ESHIKOTO 梅酒』
最後に梅酒をご用意しております。最近は酒粕がご自宅で食べれなくなってしまっております。
飼料や肥料になってしまっていることが多いです。大変もったいないので、アルコールに変えようかなと考え、
コロナになった時に、消毒用のアルコールがなかった事を覚えていますか?それを何とか支援したいなと考え、酒粕からアルコールを作って、
医療従事者や学校教育関係者に寄付していました。
その流れの中で、福井は梅が有名で、梅の中で黄金の梅という非常に完熟した梅を漬けたら非常にすばらしい梅酒になりました。
アルコール度数は25度あるので、ソーダ割りにして頂いて飲んでも美味しいと思います。
水野社長からのごあいさつ
最後に、今日はたくさん飲んで頂いてありがとうございました。2024年。あと2年後ですが、北陸新幹線が福井まで延長します。
なかなか遠い福井ですが、少しでも近くなりますのでぜひ福井にいらっしゃっていただきたいと思います。
四季を通して福井は非常に美味しいものが多くございます。
機会がありましたら是非足を運んでいただき、皆様とお会いできる日を楽しみにしております。
今回皆様が飲んで頂いておりましたグラスですが、黒龍酒造のグラスです。
お土産にお持ち帰り下さい。本日は誠にありがとうございました。
今回の件で、職人もホールスタッフも、ものすごい経験になりました。
本当にありがとうございました。
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